私たちの日常生活には、私たちが意識的には気づかない「盲点」が存在します。これは文字通りの視覚的欠損ではなく、私たちの認識と感覚の中で存在する「心理学的スコトーマ」として知られるものです。
1. 心理学的スコトーマとは?
スコトーマは、文字通りには視野の一部に生じる欠損を指しますが、心理学の文脈では、私たちが無意識的に無視または避けている情報や感情、信念などを指します。これは私たちが日常的に体験する外部の情報の洪水から自分を守るための心の防御メカニズムとして機能することがあります。
2. RASの役割
私たちの脳には「脳幹網様体賦活系(RAS)」というシステムがあり、感覚入力をフィルタリングし、私たちが注意を向ける情報を選択する役割を果たします。これにより、私たちが日常生活で直面する膨大な情報から、本当に必要な情報だけを取り込むことができます。
しかし、このシステムは同時に、私たちが無意識的に避けたいと感じる情報をフィルタリングする役割も果たすことがあります。
3. クリエイティブアボイダンス
スコトーマとRASの動作の結果として、私たちが新しい解決策を求めているときにも、実は無意識的に特定の方向性や考え方を避けてしまっていることがある。これを「クリエイティブアボイダンス」と呼ぶことができます。私たちの中の固定観念や恐れ、先入観が新しい考え方や視点を遮断してしまうのです。
RASによって起こるクリエイティブアボイダンスの克服方法
ここまでのコラムでは、心理学的スコトーマとRAS(脳幹網様体賦活系)の働きによって、私たちが無意識的に特定の情報やアイデアを避けてしまう「クリエイティブアボイダンス」について触れました。ここからは、この障壁を越え、クリエイティブアボイダンスを克服する方法に焦点を当ててみましょう。
1. 自己認識の強化
まず、自分の心理的スコトーマがどこに存在するのかを理解することが重要です。これは、自分の考え方や反応のパターン、そして日常の行動を客観的に観察することで可能となります。例えば、特定のアイデアや提案を自動的に拒絶する傾向がある場合、それが何に基づいているのかを探ることができます。
2. 環境の変更
環境は私たちの思考や感覚を大きく影響します。新しい視点やアイデアを持つために、日常の環境を変えることが有効です。新しい場所での作業、違う人との交流、または異なる分野の読書など、慣れ親しんだ環境から一時的に距離を置くことで、新しい視点を得ることができます。
3. フィードバックの収集
他人の意見や視点は、自分自身のスコトーマを明らかにする鏡として機能します。定期的に信頼できる人からフィードバックを求めることで、自分が見落としている点や固定観念に気づくことができます。
4. 挑戦的な問いを投げかける
「なぜ?」という問いを自分自身に投げかけることで、深層の信念や価値観を再評価する機会が生まれます。これにより、無意識のうちに避けていた考え方やアイデアに気づくことができるかもしれません。
5. メンタリングやコーチングの活用
特に効果が高いのは専門家や経験者からのガイダンスです。これは自己認識を深め、新しい視点を持つための手助けとなります。自身では無自覚のスコトーマに対して彼らは外部からの視点を提供し、あなたの固定観念に縛られている点を指摘してくれることでしょう。
クリエイティブアボイダンスは、私たちの新しいアイデアの探求を阻む障壁となることがありますが、上記の方法を取り入れることで、その障壁を越え、真に創造的な思考を持つことができます。
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