ショップや展示会での対面セールス。ここで繰り広げられるのは、単なる商品の説明以上の、心の奥底をくすぐる戦略的なコミュニケーションのやり取りです。その中心にあるのが「非言語情報」と、それが働きかける「無意識の領域」です。
1. メラビアンの法則とは
非言語コミュニケーションは言葉を使わずに情報を伝える方法です。身振り、表情、目の動き、身体の姿勢などが含まれます。例えば、親指を立てるジェスチャーは「良い」や「同意」を示し、腕を組むことは不安や防御的な態度を表すことがあります。また、視線を合わせることは信頼や興味を伝え、笑顔は喜びや親しみを表現します。このコミュニケーション形式は文化によって異なる意味を持つこともあり、非常に多様で豊かな情報源となっています。
対面コミュニケーションの際、感情や意向をどれだけの情報で伝えられるかを示すメラビアンの法則によれば、言葉の内容は7%、声のトーンや音は38%、そして体の動きや表情といった視覚情報は55%の影響を持ちます。
2. 無意識領域と購買行動
お客様が商品を購入する際、その決断は意識的な思考だけでなく、無意識の領域からの影響も大きく受けています。例えば、商品の色や形、店員の表情や声のトーンなど、私たちが意識的には気づかない情報が、実は購買意欲を刺激しているのです。
3. 対面セールスでの非言語情報の活用
セールスの現場で、この無意識の領域に働きかける鍵となるのが非言語情報です。商品を見せる際の手の動きや、お客様の質問に答える時の目の動き、声の高低、明るさなど、これらの視覚・聴覚情報がお客様の心に安心感や興味を生み出し、購買行動へと導きます。
ここでは非言語情報の使い方の例を3つ取り上げ、セールスをする方向けに解説します。
ボディランゲージを意識する
- 相手の姿勢: お客様の姿勢は、興味や関心の度合いを示す大きな手がかりです。前傾姿勢や目をキラキラさせて聞いている状態は興味を持っているサイン。逆に、背筋を伸ばし、距離を取ろうとする動作や目をそらす動きは興味が薄れている可能性が。
- 自分の姿勢: 自分の姿勢も大切です。相手に興味を持っていること、信頼感を与えるためにも、背筋を伸ばし、視線をしっかりと合わせることが大切です。
表情を読む・使う
- 相手の表情: お客様の表情は、気持ちのバロメーター。喜び、不安、疑問など、様々な感情が表情に表れます。これらの感情に応じて、適切なアプローチや情報提供をすることが必要です。
- 自分の表情: 笑顔は最もパワフルなコミュニケーションツールの一つ。お客様に安心感を与え、信頼関係を築くためには、適切なタイミングでの笑顔が大切です。
トーン・声の高さ
- 相手の声のトーン: お客様の声のトーンや高さも、気持ちを反映するもの。興奮や興味を示す高い声、不安や疑問を示す低い声などを捉えて、その都度適切な対応を考える。
- 自分の声: 話す速さ、声の大きさ、トーンは、メッセージの受け取り方に大きく影響します。落ち着いたトーンでゆっくりと話すことで、信頼感を与えることができます。
結論
セールスにおいては、言葉の選び方や話す内容も大切ですが、それと同じくらい、非言語情報の使い方にも注意を払う必要があります。相手の非言語情報を正確に捉え、自分自身も適切な非言語情報を発信することで、より効果的なセールスを展開できるでしょう。
非言語情報が働きかける無意識の領域を理解し、適切にアプローチすることで、セールスの成功率を高めることができるのです。
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