あなたは、機嫌のいい日と悪い日、思い出すことや気になることが変わることを経験したことがありますか?これは「気分一致効果」という現象で、我々がどの情報に注意を向け、記憶するかが現在の気分に影響を受けることを示しています。
気分一致効果とは?
気分一致効果とは、個人の現在の気分が記憶や連想に影響を与える現象を指します。
具体的には、特定の感情状態で学習した情報は、同じ感情状態のときに再度その情報を思い出しやすくなるというものです。
例えば、喜びの気分で得た情報は、再び喜びの気分のときに思い出しやすく、逆に悲しい気分で得た情報は、悲しいときに思い出しやすくなります。この効果は、感情の状態が記憶のコンテクスト(背景)として機能することで生じるとされています。気分一致効果は、日常生活や心理療法、広告戦略など様々な場面での情報伝達や意思決定に影響を及ぼす可能性があります。
そしてこの気分一致効果の働きは脳内の “ある機能” が関係しているのです。
脳幹網様体賦活系(RAS)とは?
さて、ここで「脳幹網様体賦活系」、通称RASの登場です。RASは脳の中で非常に大切な役割を果たしている部分で、私たちが日常で受け取る膨大な情報の中から、何に注意を向けるかを選別する役割を担っています。
たとえば、賑やかなカフェで友達とおしゃべりしているとき、背後で流れる音楽や他のお客さんの会話はあまり気にならないでしょう。しかし、自分の名前が隣のテーブルの会話で出た瞬間、その声や内容が突如として耳に飛び込んでくることがありますね。これはRASが「自分の名前」という情報を重要と判断し、その情報を優先して私たちの意識に届けたからです。
気分一致効果とRASの関係
気分一致効果は、私たちの気分がRASを通してどの情報に注意を向けるかを影響していると考えられます。
楽しい気分の時、RASは楽しい情報やポジティブな思い出に対して感度を高め、それに関連する情報を意識の中心に持ってくるのです。
逆に、悲しい時やイライラしている時は、その気分に合った情報や思い出が前面に出やすくなります。これは、なぜ同じ状況でも人によって受け取る情報や感じることが異なる理由の一つとも言えます。
気分一致効果とRASは、私たちがどのように世界を認識し、どの情報を重視するかに深く関わっています。日常の中で気分や感情が変動することで、私たちの見る世界も少しずつ変わってくるのです。
気分を使いこなすことができれば人生はもっと私たちの自由になるかもしれません。
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